市場と分析

小米科技Xiaomiのシェア減は目先の利益追求のせいなのか?

2016/08/27

IDCのリポートによると、2016年第二四半期の中国市場でのスマートフォン市場で、小米科技Xiaomiのシェアが下落し、Huawei、OPPO、Vivoに抜かされているという結果が話題となっています。
IDC: Top 3 China Smartphone Vendors Maintains Streak with Combined 47% Total Market Share in 2016Q2(英語)

それ以前にも、昨年の後半から同社のシェアが急激に落ち込んでいる件は、各地で取り上げられていました。
Xiaomiといえば、その前はAppleやSamsungに追いつけとばかりにシェアを伸ばしていた会社ですので、余計に話題になりやすいのでしょう。

日経新聞では、次のような記事が掲載されていました。

スマホ「風雲児」の面影なく 小米の急失速
 中国ではメーカーが雨後のたけのこのように現れては消え、また現れては消える。こうした企業に共通するのは目先の利益を優先し、中長期的な視野に立つ計画性の無さにある。
 市場が一気に拡大したスマホ業界で、小米もやはりその一つだったのか。市場全体もブレーキがかかり始めた業界で、間もなくその答えが出る。

と締めています。

しかしXiaomiがシェアを失った理由はもっと別のところにあるのではないでしょうか。

Xiaomiも含め、今の中国メーカーが消えていくのは、目先の利益を優先しているからというのは早計ではないかと考えます。

日進月歩の技術革新が行われているスマートフォン市場で、長期的視野で計画を立てるのは、必ずしもよいとは限りません。
OSを握るAppleやGoogleならばまだしも、他のメーカーではむしろそれが命取りになりかねないでしょう。

小米之家 北京当代商城店

小米之家 北京当代商城店

中国市場の変化とマーケティング戦略

Xiaomiがシェアを減らしている理由のひとつは、中国市場と消費者が以前よりも成熟してきたことの現れです。

元々、Xiaomiはユーザーと開発者の距離が近い会社でもありました。

よい喩えが難しいですが、ガレージで、ウォズとジョブズがAPPLEをつくっていた時代....というのは、さすがにちょっと違うかも。
一昔前のPCショップとか、そんな感じでしょうか。

Xiaomiがスマートフォン事業を始めた当初は、独自の店舗を持たず、主にネットを介した販売を行っていました。
中心となるユーザーもいわゆるイノベーターやアーリーアダプター的な層が中心。
ファンクラブの存在やオフラインイベントの開催などが行われる会社でした。
その彼らがまた他の人たちへ紹介し、Xiaomiの知名度を上げていったのが、その後の躍進につながっています。

会社と客の距離が近いことは悪いことではないはずです。
ですが、一般的な消費者はファンとしての扱いではなく客として扱ってくれるメーカーを好むでしょう。

さらにブランド力も必要になります。

すでに中国でもスマートフォンは市場として飽和状態にあるといわれるほどで、マニアのものであった時代は過ぎ去っています。

Huawei、OPPO、VivoなどXiaomiを追い抜ていくメーカーは、ブランドアンバサダーとして著名人を起用した広告や、街中に実店舗を展開するなどブランディングにも力を入れてきました。
日本ではHuaweiなど一部のメーカーしか進出していませんが、積極的に欧米市場や東南アジアにも進出し、海外へも展開しているブランドとして中国国内で知名度をあげています。

広州のOPPOストア

広州のOPPOストア

Xiaomiも最近になって広告戦略や、街中に実店舗として小米之家を展開するようになったものの、他のメーカーと比べるとこの手のマーケティング戦略では後塵を拝している状況です。

中国の他のメーカーの品質やデザインの向上

またXiaomiの場合はきわめて低価格でありながら、贅沢なパーツを利用したスマートフォンを発売しているところが人気のひとつでもありました。

現在のフラッグシップ Mi5 の標準モデルは現地価格で1999元、円高に振れている今なら3万円を切るレベルでありながら、SoCにSnapdragon820を使用するという図抜けたコストパフォーマンスを誇ります。

Xiaomi Mi5
とはいえ、その一方でこの標準モデルは、ディスプレイはLCDで解像度はFullHD、RAMは3GB、ストレージは32GBとそれほど目新しいものではありません。

他社のフラッグシップ級モデルでは、価格こそMi5とは勝負にならないものの、ディスプレイにAMOLEDを採用や解像度もWQHD、RAMも4GB以上、外装も高級感のあるメタリックな素材や、デザインされたボディやを採用しています。
Mi5はXiaomiの健在ぶりをアピールするスマートフォンではありますが、やはり評価としてはフラッグシップというよりは、ミッドレンジとして扱われてしまいます。

多くの消費者はチップになにが使われているかよりも、デザインや質感、液晶の質、自撮りの性能などへの関心が高くなります。
さらにLeEco(LeTV)の Le Max2 のように、Mi5と同じく廉価ながら、それを上回るコストパフォーマンスをみせる端末も出てきています。
そのため、次第にXiaomiの長所が失われているというのも、シェアに大きな影響を与えているのではないでしょうか。

スマホ連携の家電へのシフトは成功するか

小米自身、スマートフォンから家電へと事業の軸を移していることもまた別の要因でしょう。
日本でも話題になった、元三洋の開発者がつくった炊飯器をはじめ、MIUI搭載の格安4Kテレビなど、スマートフォンと連動した家電メーカーへとシフトしています。

この辺りのフットワークの軽さは、MIUIで知られるように、元々はカスタムROMの会社であり、スマートフォンメーカーではなかったことも大きく影響しているのかもしれません。

小米之家 北京五彩城店

小米之家 北京五彩城店

ただ家電は家電でライバルも多いですし、やはりこの分野でも小米イコール格安のイメージはなくならないようです。
高い人気を誇るトップの同社CEOの雷軍氏は、未だに注目度は落ちていないとはいえ、もくろみ通りに成功するのは、なかなか難しいでしょう。
そして成功したとしても、スマートフォンと同じように、また後発との厳しい競争が待ちかまえていることとおもわれます。

-市場と分析
-, ,