市場と分析

苦境のジャパンディスプレイ。有機EL対策と問われるAppleのサプライヤーからの脱却

スマートフォンの液晶ディスプレイではおなじみのジャパンディスプレイ(JDI)ですが、ここへきて大きく揺れています。
WSJのインタビューで、世耕経済産業大臣がジャパンディスプレイの売却について言及したことがその原因です。

ジャパンディスプレイ

JDIは以前はシャープと並び日本のディスプレイ産業の中心企業で、特にiPhoneの液晶への供給ではトップを誇ります。
しかし市場の競争激化のなか、大きな赤字を出して経営不振に陥り、産業革新機構に追加支援を要請している最中です。

産業革新機構(INCJ)が筆頭株主として35%強を所有していますが、産業革新機構は半官半民の投資ファンドですが、経済産業省の意向がきわめて強い組織でもあります。
それが、世耕経済産業相のインタビューで、今後、Appleのサプライヤー以外の柱をみつけられなければ、売却もあり得るというニュースが流れたのです。

世耕経産相、ジャパンディスプレイ売却検討を示唆=WSJインタビュー
http://jp.wsj.com/articles/SB10616159211553144711104582326802158339954

中国市場で失速するJDIの液晶ディスプレイ

JDIの不振のひとつには、急速に中国市場で競争力を失っていることがあげられます。
中国でスマートフォン市場が急成長を遂げてきたとき、JDIは高品質のディスプレイを安定して供給できるメーカーとして中国市場での信頼も高く、同社の低温ポリシリコン液晶は競争相手のシャープを追い落とすまでになります。
SIMフリースマホとして日本でも人気の高い、Huawei、Xiaomi、OPPO、OnePlusといったメーカーでは、スペック表のディスプレイの欄に、JDIとわざわざ記載してるスマートフォンも少なくありませんでした。

2014年までは順調でした。この頃から競争が激化しディスプレイの価格の下落が始まっているものの、設備投資を行うまでのゆとりもあり、翌年はさらに売上げが見込まれていました。

しかし2016年3月期(JDIの決算月は3月)は大幅な赤字となってしまいます。
この年度の第三四半期の後半、つまり2015年の年末より受注が減少し始めます。
この頃、高コストであったSamusungの有機ELのコストが、液晶と逆転した時期に当たります。

2016年にはフラッグシップのディスプレイの潮流は、液晶から有機ELへと移っていきました。

海外でもネームバリューのある OnePlus3、ZTEの AXON7 やnubia Z11 Max、VIVOのXplay5、MEIZU Pro6などのフラッグシップ機がAMOLEDを採用し、OPPOの次期フラッグシップといわれる Find9 もAMOLEDを採用すると予想されています。

JDIの高すぎるiPhoneへの依存

こうしたなかで、2016年の3月末には、ついに売上高のAppleへの比率が50%を越えるという事態にまで陥ってしまいました。
2017年3月期では赤字幅はさらに拡大すると予想されています。

iPhoneがシェアを減らすなかで、その依存度がさらに高まる上、そのiPhoneは近い将来に有機ELを採用する予定です。
JDIも有機ELの生産を急いでいますが、この分野はSamsungやLGが一歩も二歩もリードしていますし、シャープを傘下におさめた鴻海も控えています。

現状のままでは手詰まりであり、追加支援どころか売却を検討するというのも無理はない話です。
まだ伸びしろのある車載に活路を見いだすという手段もありますが、こちらの分野でも中国メーカーの進出に加え、2018年頃より有機ELの採用が予想されているため、なかなか厳しいものがあるのではないでしょうか。

経産省の判断がどうなるのか。いずれにしても、JDIの立て直しは相当の苦難が待ち受けていそうです。

ジャパンディスプレイ決算短信
http://www.j-display.com/ir/library/er.html

矢野経済研究所:車載ディスプレイ世界市場に関する調査を実施(2016 年)
http://www.yano.co.jp/press/pdf/1582.pdf

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